GPz008 近藤名奈 「7/360」
今まで紹介してきた中では、最もメジャーなボーカリストだと思います。
ガールポップムーブメントの真っ只中にデビュー。その中堅どころとして、確たる地位を占めていた印象があります。最近まで活動されていたようですが、現在はわかりません。ファンサイトもあるので、探せば情報は多いと思います。
【特長】
高音まで伸びるきれいな声で、歌もとても上手いです。ただ、優等生的というか、平坦で特徴に乏しい印象も受けます。CMなどとのタイアップも多かったようですが、記憶にないのは、そうした理由からでしょうか。
とはいえ、シングルの多くに見られる元気な前向きソングは、方向性が似た傾向はあるものの理屈抜きに元気になれます。
ショートヘアでボーイッシュなルックスも含め、永井真理子さんともかぶる気がしますが、そこまで広く支持を得られなかったのが不思議であり残念です。
演奏は当時の主流でしょうか、通常のバンドサウンドにシンセや管弦楽も巧みに組み合わせた厚みのあるもので、コーラスも多用しています。アレンジの技巧的な部分に関心のある方は、その点でも楽しめると思います。
【出会い】
当時FMで深夜にやっていた「インテグラル・ステーション」で「地球を蹴ってさか上がりして」を耳にして、元気な感じに好感は持てましたが、当時のありがちガールポップという印象で、特に引っかかるところはありませんでした。ガールポップにハマった当初も、中古店でよく目にするものの、私の中ではメジャーな方だったので、あまり注意は払っていませんでした。しかし、図書館に「Better Days」があったため試しに借りて聴いたところ、ベスト盤ということもありハズレなしで、たいへん気に入ったのでした。
【このアルバムについて】
発売:1993年7月7日(廃盤) 購入:2006年9月23日
CD入手困難度:★★☆☆☆
(2nd以降に比べ少ない傾向はあるが入手は楽)
デビューアルバム。それ以降のアルバムに較べると、評価は決して高くなく、ボーカルの完成度もやや劣るかも知れませんが、楽曲もよくファーストとしては十分すぎる出来です。
ファンハウスも力を入れていたようで、初回版特典にステッカーを付けたり、同時期にビデオも発売しています。発売日はナナに合わせていたことに今回初めて気付きました(笑)
01 無限大
作詞/田辺智沙、作曲/原一博、編曲/岩崎文紀
ピアノ(?)の出だしからダイナミックに展開する前奏が印象的な、いかにも彼女らしい元気いっぱいの前向きソング。
02 歩いてみようよ
作詞・作曲/田辺智沙、編曲/岩崎文紀
アカペラで始まる比較的落ち着いた感じの曲。シンプルな演奏な分、ボーカルの繊細さにも注目したいです。焦らずマイペースで行こう、みたいなやっぱり前向きな歌詞。
03 地球を蹴ってさか上がりして
作詞/田辺智沙、作曲/樫原伸彦、編曲/岩崎文紀
歌詞の情景が浮かんでくるような爽やかなセカンドシングル。PVでは、歌詞そのままに白い自転車で颯爽と走っています。前述のとおり初めて聴いた彼女の曲であり、2年ほど前、NHK-FMのリクエストで採用されたこともある個人的に思い入れのある曲。
04 夏の始まりに探したもの
作詞/田辺智沙、作曲/樫原伸彦、編曲/岩崎文紀
子供の頃を思い出させるような歌詞。静かな出だしから、サビに向かって演奏は次第に厚みを増しなかなかの盛り上がりを見せます。ヴァイオリンなどが美しさを際立たせており、間奏のエレキもいい感じです。
05 Moderato
作詞/田辺智沙、作曲/原一博、編曲/岩崎文紀
彼女の本流といえるポップな曲。彼との初めてのピクニックを歌っていますが、明確な恋愛めいた表現が出てこない、ある意味彼女らしいラブソング。
06 アンコールがとまらない
作詞/田辺智沙、作曲/三村均、編曲/岩崎文紀
学園祭のステージに立つ、彼氏もしくはそれ未満の男性を歌った曲。ちょっとレトロな正統派ロックンロールの曲調にハーモニカが入ったりして、そういう経験がなくてもノスタルジックな気分になってしまいます。あえてそうしているのか、心なしか舌足らずというか初々しいボーカルも曲にマッチしています。
07 明日のドア
作詞/田辺智沙、作曲/原一博、編曲/岩崎文紀
前奏から全開です。明日は何が待っているかわからないけど希望を持って進もう、という前向きソング。テンポもよく、やはり元気をもらえます。
08 願い
作詞・作曲/田辺智沙、編曲/岩崎文紀
はじめベスト盤で聴いた時は、相対的に穏やかで平凡な曲に聞こえたのですが、なかなかどうして十分にポップでアレンジも見事です。イントロも聴かせますし、サビのオーケストラの演奏で盛り上がるところもスケールを感じさせます。
09 10年たっても
作詞・作曲/田辺智沙、編曲/岩崎文紀
穏やかで美しい演奏に澄んだボーカルがマッチしています。幼なじみの異性の友達を大事に思う気持ちを男性目線から歌った曲。なかなかこうは行かないと思いますが理想的ではあります。
10 こんな日は早起きしてあなたに会いたい
作詞・作曲/田辺智沙、編曲/岩崎文紀
デビューシングルにして見事な歌いっぷり。「あなた」は十中八九彼氏だとわかるのだけど、これまたそうした表現が出てこないラブソング未満の曲。実にポップな曲なのですが、スローなアコースティックバージョンも存在し、聴き比べると面白いです。
11 水平線のキス
作詞/田辺智沙、作曲・編曲/岩崎文紀
ピアノ(っぽいシンセ?)を中心とした演奏が美しいバラード。抑え目の前半から高音の伸びが冴える後半までなんとも気持ちのいいボーカルです。歌詞はあまり気にしていなかったのですが、あらためて聴いて、「えぇっ、そういうオトナな内容?」とちょっと驚いています。
* * * * * * *
聴き込んでみると、ある特徴に気付きます。当時のJ-Pop、少なくともガールポップに関しては、9割方が明確なラブソングということが多いのですが、彼女の初期の曲には、明快なラブソングがほとんどありません。微妙に恋愛を匂わせた、ある種もどかしい感じを狙っていたのかもしれません。見た目もボーイッシュで、男性目線の歌詞や一人称に「ぼく」を多用しています。
「愛」「恋」「好き」といった表現がないものの、無邪気な青春ソングは別の意味で気恥ずかしさを感じるかも知れません。
それにしても、初期のシングル、どれもタイトル長いなぁ(笑)
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