このところのシティポップブームの中心的存在の林哲司さんの作品集 で取り上げられたことでにわかに注目され、先ごろ何とアナログLPで3rdアルバムのリイシュー盤 が出た市川陽子さん。 彼女の情報がネット上にもほとんどなかった10年以上前から、強力に推していた身としては喜ばしくもあり大いに驚愕したものです(過去記事はこちら )。これを機に彼女が再評価されることを祈念し、(林哲司さんが参加していない)2ndアルバムのこの曲を。
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さて、今回の117クーペの注目ポイントは、去年取り上げたボンネットフードに続いて・・・
トランクフード!
って、ネタ切れ感ありありですが、実はなかなか特徴的なのです。
これほど立体的・三次元的なトランクフードはなかなかありません。この車の唯一無二?のリアスタイルを特徴付ける大きな要素になっており、見る角度によって様々な表情が見られます。
斜め前から見ると、リアのサイドウィンドウの後方が内側に絞り気味になっていることやリアフェンダーの張り出しと相まって、ノッチバックにも見えます。 ↑後ろから見るとフェンダーの上平面に続く両端から、中央に向かってなだらかに盛り上がっています。
↑上から見た時にグラスエリアの下側がきれいな弧を描くのも計算されていますね。
横から見るとトランクのサイドのラインが見えないためスッキリした印象になっています。トランク上端のメッキモールは、サイドウィンドウ下のラインとの連続性があります。
見過ごされがちな特徴としてリアウィンドウとの境目があります。ウィンドウの下端にトランクフードが被さる形になっています。
当時はこのような形状は珍しく、下の写真のように窓枠のモールやボディー側のパネルが見えているのが普通でした。 ↑箱スカのトランクフード
117クーペのこのトランク上側の形状については、Wikipedia に記載がある以外は当時のカタログ等も含め言及した記事を見かけません(だいぶ前にどこかで見た気もしますが、ウチにある文献には見当たりませんでした)。 日本初だったかもしれない部分で技術的にも苦労したと思われますが、言ってしまえば些細な部分であり、説明してもピンとこないから、いすゞもアピールしなかったのでしょうか。
さて、ここふた月ほど他の車のトランクを観察してきましたが、最近の車のトランクはことごとくリアウィンドウの下端に被さる117クーペと同様のスタイルでした。リアウィンドウの縁をメッキモールで縁どっていても下側だけない、というパターンも。タクシーに使われているクラウンコンフォート(おそらく1987~1991年の8代目ベース)がこのパターンですが、標準モデルでは11代目(1999~2003年)までガラス下側のモールが見える形でした。 ↓クラウンのタクシー ウィンドウにトランクが被さり下側のモールなし https://www.nihon-kotsu-taxi.jp/reserve/vehicle/crown/
↓同じタクシーでも、セドリック(1987~1991年の7代目ベース)は下側のメッキモールも出ています https://www.nihon-kotsu-taxi.jp/reserve/vehicle/cedric/
なお、セドリックの標準モデルでは、1999年登場の最終型(10代目)からリアウィンドウに被さるタイプになったようです。
他のモデルも調べていくと、どうやら1990年代に多くが被さるタイプに切り替わっていったようです。かつては、リアウィンドウ下部のパッキンすれすれのものが多かったですが、現在はほとんどがパッキンを完全に覆うタイプのようです。 空力的に有利なことや雨樋にゴミが溜まりにくいといったメリットがあるため、加工精度の向上などにより一般化してきたと思われます。 117クーペは1968年発売ですから、20年くらいトレンドを先取りしていたことになりますね。
↑トランク上部の隙間。ルーフ側から覗き込まないと内側のパッキンが見えません。 現代の車に比べると広めですが、後期の角目ではもっと隙間が狭くなっているように思います。 トランクの上端にこのようにモールを付けているのは珍しいかも知れません(この形状からの必然だったのでしょうが)。
ちなみに、117の腹違いの兄弟車とも言えるフィアットディーノクーペ (1966~1973)はウィンドウ枠下側のメッキモールが見える形でした。ジウジアーロさんはこのディーノクーペが発表された時あまりに自分が思い描いていたハイクラスカーそのままだったため驚いたそう(1987ノ〇ヒ□より)ですが、それをベースにさらに新しい要素を加えたのが117クーペだったのだと思います。サーベルラインも含め、あくまでショーモデルとして(?)考えたものが、最終的に量産化までされるとは思っていなかったでしょうね。
なお、117クーペの場合、リアウィンドウ上部にもルーフが少し被さる形になっているため、リアウィンドウが一段低い形になっています。デザイン的な意図があったようですが、これについても気がついたことが・・・ 最近の車でルーフ後端を伸ばしたり、ルーフスポイラーを付けているものは、一部のスポーティなモデルを除きほとんどが117クーペと同様にルーフラインをそのまま伸ばしたやや尻下がりの形状になっており、これまた時代を先取りしていました(かつて、スポイラーといえば後端が上に反りかえったダックテールが一般的でした)。
ちなみに117クーペのトランク内側。現代の車もそうですが、雨樋とその内側にもパッキンがついており、当然のようにウィンドウ下端のゴムだけでは、雨の侵入を防ぎきれない前提です。実際はヘタリもあり、大雨だとこのトランク側のパッキンでも防ぎきれないのですが。
それにしても今回観察していて、トランクのある車の少ないこと!。ワンボックスやツーボックスばかりなのを改めて認識しました(意外なところではトヨタ86がリアウィンドウごと開くハッチバックではなく、トランクが独立したクーペだったことですね)。
ということで、 冒頭で書いた通り、今回は当初苦し紛れに着目した部分だったのですが、思わぬ発見があり話が広がってしまいました。
117クーペが「日本初」だったかどうかについては、引き続き確認していきたいと思っています。 (色々なアングルの写真を載せたかったのですが、枚数制限のため10枚だけです)
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